株式価値の評価法Ⅲ 

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知的資産経営

知っておきたいポイント

株式価値の評価法Ⅲ

株式価値の日米における評価方法の違い

日本も米国も、会社は一部の株主だけのものではありません。したがって一部の株主のために最高価格の評価を提供する義務は無いと言えます。しかし、同時に会社の経営者は善管注意義務(最善の注意を払いながら、思慮深く経営判断を行う義務)の他に忠実義務(自己の地位を利用し、会社の犠牲において自己の利益を図ってはならない義務)を負っていることを考慮すれば、少なくとも自社株式の価値を知るための合理的な情報収集を怠らず、株主にもたらされる利益がベストになるよう努めなければならない、と解されるのもまた真実です。
以上を前提として、株式価値を評価する方法を「過去」「現在」「未来」の3つのケースに分けてみました。
すなわち、
 

    会社の「過去」に着目し、会社所有財産の価値に基づき評価する方法

    会社の「現在」に着目し、市場での取引価格に基づき評価する方法

    会社の「将来」に着目し、会社の収益力に基づき評価する方法

 
①はⅠの(2)純資産価額方式(3)配当還元方式に該当します。
②はⅠの(1)類似業種比準方式に該当するのが分かると思います。
しかし、③に該当する手法はこれまで我が国ではなじみが薄かったのですが、米国の投資ファンドがM&ATOBの際にデューデリジェンスを行うようになって知られるようになってきていますが、我が国の実務上はあまり関心を持たれていないのも事実です。

米国の代表的な手法とされる
DCF法は「将来」の収益性まで視野に入れた代表的な手法であり今後、グローバル経済の標準化が叫ばれる今日、日本も近い将来、DCF法は無視できない存在になると思われます。
ただし、
DCF法の欠点は、一つの資産を対象にしているため、キャッシュフローが高い確度で導き出せる資産(例、不動産)には向いていますが、多数の要因からキャッシュフローを見積もるという不確実性の多い企業評価においては、参考程度にしかならないことも申し添えます。