決算書が普段、水面上に表れている、言わば見えるものだとすれば、水面下にある知的資産は、当たり前に存在する水や空気のようなものです。しかしそれは自社から見た場合であり、他社から見ればその「当たり前」が大きな宝物かもしれません。
「敵を知り己を知らば百戦危うからず」と、孫子の兵法にもあるように、「己を知る」ことが最初の一歩です。
最初に過去実績の確認をしてください。
「過去~現在」の経営哲学、経営方針、戦略を確認し、これに基づく投資実績と業績を確認します。また、現時点でステークホルダー(利害関係者)に開示している企業概要をまとめます。過去の実績を確認するに当たっては、業績数値だけではなく、哲学や方針、戦略及びそれに基づいた投資実績をまとめることで、事業展開の変遷を整理することができます。
次に自社の強みや弱みを確認します。
「過去~現在」の経営状況や知的資産を把握した上で、SWOT分析等のツールを利用して、自社の強み・弱み、収益の機会・脅威について整理・把握します。これらの分析によって、どのような強みが蓄積されているか明確になります。また、弱みが明確にされ、それに対する対策が用意されるのであれば、将来の強みに変換できる機会となります。更に、将来収益の機会・脅威が整理できれば、今後、知的資産をどのように活用して収益を生み出していくのが良いか、方向性が見えてきます。
SWOT分析とは
知的資産は企業の強みの源泉となるものですが、企業の持つ現在の「強み」は「弱み」へと変化するリスクが常に存在します。これは知的資産を充分に認識しないまま、ほっておいた結果陳腐化してしまったり、認識して活用していても、その維持・強化の努力が不十分であったために競合他社に抜かれてしまっていたりすることによるものといえます。こうした事態を避けるためには、まず自らの強みの源泉となっている知的資産を的確に認識し評価すると共に、それに対する脅威と脆さの分析(リスク分析)を行うことが第一歩となります。
そこで、自社の現状を分析するために効果的な分析手法となるのがSWOT分析です。SWOT分析とは、企業の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)について分析し、全体的な評価を行う手法のことで、強みと弱みは主として企業の内部要因を分析(内部環境分析)し、機会と脅威は同様に企業の外部要因の分析(外部環境分析)を行うものです。
【SWOT分析イメージ図】
まずは自社内において分析し、各項目について抽出することが必要ですが、重要なのは、ステークホルダー(特に開示する対象者)から自社がどのように見えるか、ということです。そのためには、開示対象先や第三者に対するヒアリングも欠かせません。
更に、これからの事業展開を考えるためには、クロスSWOT分析が活用できます。クロスSWOT分析とは、SWOT分析で明らかになった強み、弱み、機会、脅威を組み合わせ、経営課題を明らかにする分析手法です。具体的には、経営課題を「強みを生かしチャンスをものにする方法」「弱みを克服しチャンスを逃さないようにする方法」「強みを生かし、脅威の影響を受けないようにする方法」「弱みを克服し、脅威の影響を受けないようにする方法」の4つに分けることで、今後の取るべき戦略を明確にし、経営者の頭の整理を行うといった効果があります。加えて、社内幹部や重要なステークホルダーと共有化することで、方向性を認識してもらう効果が見込めます。
【SWOT分析イメージ図】
強み (Strength) | 機会 (Opportunity) |
弱み (Weakness) | 脅威 (Threat) |
まずは自社内において分析し、各項目について抽出することが必要ですが、重要なのは、ステークホルダー(特に開示する対象者)から自社がどのように見えるか、ということです。そのためには、開示対象先や第三者に対するヒアリングも欠かせません。
更に、これからの事業展開を考えるためには、クロスSWOT分析が活用できます。クロスSWOT分析とは、SWOT分析で明らかになった強み、弱み、機会、脅威を組み合わせ、経営課題を明らかにする分析手法です。具体的には、経営課題を「強みを生かしチャンスをものにする方法」「弱みを克服しチャンスを逃さないようにする方法」「強みを生かし、脅威の影響を受けないようにする方法」「弱みを克服し、脅威の影響を受けないようにする方法」の4つに分けることで、今後の取るべき戦略を明確にし、経営者の頭の整理を行うといった効果があります。加えて、社内幹部や重要なステークホルダーと共有化することで、方向性を認識してもらう効果が見込めます。
【クロスSWOT分析の例】参考:送風機メーカー
クロスSWOT | 外部環境 | |||
(機会) | (脅威) | |||
1. 日本国内での設備投資の増加 2. 特注品仕様、短納期要望の増加 3. 環境意識の高まり | 1. 海外同業メーカーによる国内市場への参入 2. 国内異業種からの参入 3. 取引先製造業の海外移転により、現地メーカーへの採用変更 | |||
内部環境 | (強み) | 1. 多品種小ロット生産体制が整っている 2. 社内情報の共有化が進んでいる 3. 経営哲学が浸透している | 顧客価値創造のための重要成功要因 「環境へホスピタリティ(心くばり)」 1. 一般用途専用機からエンドユーザー要望単位の特注品へ、一層の充実を図る(多様なニーズへの対応) 2. 計画生産から、一品受注、一個生産体制の一層の強化(自社の強みを生かした 受注⇒設計⇒生産へシフト) 3. ユーザーの要望納期の遵守(最短納期でのモノづくりの実現) | |
(弱み) | 1. 年代が若く、技術の応用力や柔軟性が不足している 2. 販路が偏っている 3. 危機感に乏しい |