M&Aとは、合併(Merger)と買収(Acquisition)を意味する言葉であり、会社そのものを売買するという意味があります。親族や社内等に後継候補者がいない場合、従業員の雇用確保・取引先の仕事確保・経営者の老後の生活資金の確保等のためには、会社そのものを売却して第三者に経営してもらうことも選択肢の一つです。
M&Aの検討段階においては、社内・社外に対する秘密保持が重要。また、買い手企業に対しては、自社に都合の悪いことでも「隠し事をしない」ことが大切です。
M&Aを進めるに当たっての手続
はじめに
M&Aの検討段階においては、社内・社外に対する秘密保持が重要。また、買い手企業に対しては、自社に都合の悪いことでも「隠し事をしない」ことが大切です。
買い手企業は売り手企業の調査をします。これをデューディリジェンス(Due diligence)といいます。買い手企業は監査法人等に依頼して売り手企業を例えば回収不能債権はどれくらいあるのか、債務保証などの簿外債務はないか等、法務・財務・事業内容等の多様な面からチェックします。
手続の流れ
手続の流れ
M&Aを進めるに当たっての問題点
- 中小企業のM&Aには不完全な形で案件が進められることが多い。専門家の適切なアドバイスがあればより適切にM&Aを行えます。
- 事業を存続するにあたって、一番大きな問題は過度な債務があるため後継者に継がせられないことです。M&Aをするにしても、そのような状態では無理という感じになってしまいます。経営者は過度な負債を抱える前に早く第一線を退き、世代交代すべきですが、進んでいないのが現状です。
- M&Aには2種類あります。さらに事業規模大きくするためという前向きなM&Aと、経営者の世代交代をしたいが親族、従業員では承継出来ないから仕方なくという消極的なM&Aの2種類です。
- M&Aの基本は企業価値あってのものなので、ビジネスに企業価値がないとやはりM&Aはなかなか難しいのが実情です。
- 優れた技術を持っているが、後継者がいないために廃業を考えている企業が多いのもまた現実です。優れた技術やその技術の担い手を いかに企業に留めるのかということが地域にとっても重要です。
- 事業承継については、従業員に継がせるとしても、M&Aであったとしても、過大な債務が問題になる場合があります。過大な債務を抱えてしまう原因は、100%の信用保証によって融資額が保証されるということがあるため、金融機関の融資審査が甘くなることも一因ではないでしょうか。
- 個人保証は問題もありますが、完全に無くすことはできません。経営がうまくいかなかった場合は確かに個人が困難な状況になるわけですが、逆に億単位で利益が出ることもあります。高いリターンを得るためにはリスクもとるべきでしょう。
- 第三者保証については、個人の支払い能力を超えるということが大きな問題になります。過度の保証は悲劇的なリスクを含むことを認識すべきです。 事業再生については、再生しようとしても手遅れになっているケースが多いため、早めに金融機関等との連携を進めていくことが必要です。
- 中小企業にとってM&Aの後のプロセスが重要です。ヒト・カネ・モノなどの経営資源が激変するM&A後の経営は、ほとんどの中小企業にとって未経験の分野ですから、M&A成約後もフォローやサポートを続ける仕組みが必要です。
- 中小企業の場合には自己資本を充実させることが成長の前提となります。但し、中小企業の場合は自己資本=財務資産ではありません。すなわち、自己資本=表に出ない知的資産であるのも事実です。詳しくは、知的資産経営のコーナーを参照してください。